出っ張る距骨

「センセ、私の距骨が出っ張っていて困ってるんです。」

「あっ、ホントですね。結構出っ張ってるから足首曲がりずらいでしょう。」

「いやぁ、話が通じるセンセに初めて会いました。
今まで鍼に行ってもマッサージに行っても整骨院に行ってもみんな距骨のことをスルーするんです。
全然通じないんですよねー。」

「あぁ、距骨のズレって結構メジャーな事なんだけど、施術者側で知ってる人は少ないのかもね。
それと足首少し緩くないですか?少しグラグラ気味ですよね。」

「そうなんですよ。踊ってるとき不安定なんですよね。」

「じゃぁ、それも合わせて診ていきましょうか。」

大人バレエの初診の方でした。
主訴は膝の痛みですが、詳しく言うと膝内側のやや下方にある鵞足(がそく)という解剖学的名称の部分の痛みでした。この鵞足には、半膜様筋、縫工筋、薄筋が付着して動きの過負荷で痛みが生じたりする部分です。関連する筋の過緊張をリリースして痛みは解消しています。

さて、足首の問題ですが、距骨のズレ、特に前方へのズレは足の親指(母趾)を曲げる筋肉の長い方=長母趾屈筋に関連しています。長母趾屈筋の腱が距骨の後方を通り、過緊張があると距骨を前方に押し出します。その結果、距骨の前方偏位が起こります。距骨が前方にずれるとつま先を伸ばす動作は出来ますが、つま先を持ち上げる動作(フレックス)の時に足首の前方が詰まってしまい曲げきれません。しゃがむと後ろにひっくり返ってしまうという事が起こってしまいます。
オステオパシーの手技(関節性靭帯ストレイン)では、今のズレを強調する方向に力を加えてリリースが起こるのを待ち、リリースが起こったら静かに力を解放することで関節のズレを解消します。施術中は、特に違和感や痛みも無くリリースすることができます。
施術後は、しゃがむ動作が可能になり、セルフメンテナンスとして長母趾屈筋のストレッチを心掛けていただきます。

もう一つの問題である足首の不安定性。
こちらは、腓骨の下方変位によるもので、足首の関節が正しい位置で嵌まってないのでぶれやすくなっていました。捻挫癖のある方によくみられる状態です。
腓骨頭も同様にリリースさせて本来の位置へ戻すことで足首がしっかり嵌まりルルベ(踵を持ち上げる動作)も安定します。

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