触れるということ その1

身体心理学という、身体と心を一体として扱う学問が少しずつ浸透してきています。
西洋的な身体と精神の二元論ではなく
東洋的な心身一如という捉え方で
身体と心を一体のものとして扱っています。
山口創 桜美林大学准教授の著作「手の治癒力」では、
身体を一旦、「頭」、「心」、「体」の三層に分けて
さらに「心」を、
体に近い方の「感覚」と、頭に近い方の「感情」
に分けて考えるところから始まります。
現代社会のスピードや便利さ、ストレスにさらされていく中で
頭、心、体の三層のエネルギーバランスが崩れ
エネルギーの偏りや連携がとれなくなると乖離(かいり)が起こる。
とあります。
頭と心の乖離では
ポジティブな感情が奥深く沈み
ネガティブな感情が表にでてくる。
心と体の乖離では
自分の体がここにあるという感覚や温度の感覚、
空腹感など内臓の感覚が鈍くなる。
本来は、
身体感覚に異常が起こる前に
身体感覚を呼び戻そうとする行動を自動的に行います。
頭を使いすぎたら体を動かしたくなる。
疲れたら湯船に浸かりたくなる。
不安を感じたら体に触れたり、さすったりする。
お腹や頭が痛ければ手を当てる。
しかし、「頭」が優先しすぎると
このような自動的な働きも無視され
乖離が生じることになります。
そこで、他者が触れることで身体感覚を呼び戻し
三層のエネルギー循環や連携を呼び戻す。
触れる、撫でる、さする、で
病気になりそうな人や
乖離を生じそうな人は
甦ることができます。
つづく