触れるということ その4

自律神経の働きと、触れるということ
自律神経とは、手足を動かす運動神経(体性神経)とは違って
自動的に調節される神経のことで
例えば、攻撃を受けて闘うか逃げるかを判断するときに
消化活動などの内臓機能を抑えて
心拍数を上げ、血圧を上げ、瞳孔を開いて、、、
などの活発な活動を促す調節を行う交感神経と
消化活動を促進し、心拍数を下げ、血圧を下げ、、、
などの活動を低下させる調節を行う副交感神経があります。
一つの臓器には
交感神経と副交感神経の両方が接続されて
その時々で優位に働いている神経活動に支配される。
活動的な状況では交感神経が優位で
落ち着いた状況なら副交感神経が優位となります。
通常このようにスイッチングが起きていると理解されている自律神経ですが、
副交感神経の内の迷走神経を新旧のタイプに分け
出来事が安全と認識できるかどうかで身体の反応が変化する
「ポリヴェーガル(多重迷走神経システム)理論」という考え方もあります。
周囲の出来事に対する初めの反応(第1段階)は、
安全な環境下で新しいタイプの迷走神経システムが優位に働き
社会的な協調性をもたらします。
もし、その反応で安全でないと認識する(第2段階)と
少し古いシステムの交感神経システムが働き
「闘争か逃走」反応が現れます。
さらに、命の危険を感じるような場合(第3段階)には
古いタイプの迷走神経システムが発動され
死んだふりや凍り付き(フリーズ)が起こります。
このフリーズ反応は、
外部からの刺激による痛みなどに耐える水準を引き上げるとされています。
安全ではないと感じてしまうことで
(本人の意思と無関係な本能的場合もある)
外界との交流を遮断する
社会関係を閉ざすという反応も含まれるようです。
迷走神経は顔面の神経とつながりがあり
表情が乏しくなっていたり
光や音に対する反応が不安定かもしれません。
反応システムは、新しい回路が古いシステムを抑える働きをすることと
迷走神経の顔面、心臓や肺とのつながりから
古い反応を抑えられる可能性も考えられます。
閉ざしてしまう反応
パニックを起こしてしまう反応
抑うつされた反応
など
これらの反応に対して
顔の筋肉
目の動き

心臓や肺に働きかけることで
反応を抑制できるかもしれません。
その時には、
安全と認識してもらえるまで直接触れずに
距離を置いた間接的な触れ方である
声やアイコンタクト、会話、身体操作などから
始めることが必要かもしれません。
安全が認識されて
直接触れることが許されるなら
それもまた効果が期待されると思います。