病名が付くと安心

「センセ、これってギックリ(腰)ですか?」
「いやまあ、突発的な腰痛でしょうね。」
「てっきりギックリ腰かと思っちゃった。」
「あのね、ギックリ腰って病名は無いんですよ。」
「えぇー!だって、前に凄い腰痛で病院行ったら、それはギックリ腰ですねって…」
「ふぅ~ん。で、どんな治療しました?」
「湿布と痛み止めを出されて…」
「で、治療らしい治療は無かったと…」
「ええ。」
「なんかよく分からないけど、それらしい病名つけられて帰ってきたと。」
「えっ!?まあ、そう言えばそうかも…」
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突発的な激しい腰痛。
動けないほどの腰痛が「ギックリ腰」と表現されています。
ま、典型的な原因筋肉はあるんですが、ここでは一旦置いときます。
その他には、
「ヘルニアのなりかけ」
「ヘルニアのようなもの」
「狭くなった背骨の間で神経が圧迫されて」
「坐骨神経痛ですね」
  ・
  ・
  ・
どれも、病名のようで病名じゃない、
よく分からないモノになっています。
で、治療らしい治療も無い。
でも、患者さんは安心しちゃうんですよね。
「やっぱり自分は○○なんだ。だから痛いんだ。」
とね。
身体の痛みの大部分は筋肉(=骨格筋。正確には筋肉を包んでいる筋膜に痛みを感じるセンサーがある)で発生しています。
(筋・筋膜痛と呼ばれていますが、適切な治療を受けられない事が多くあります。)
でも、痛みの信号が脳に伝わる段階で、間違って認識してしまい、深い部分、たとえば骨とか関節などが痛いと感じてしまう。
(関連痛と呼ばれて、内臓由来の痛みが背中や肩などに現れたりもします。)
また、病院で行うレントゲンなどの画像診断では、痛みを訴えている部分に何も見つからなければ(痛みの原因部分と痛みを感じている部分が離れているので)、ストレスの痛み、年齢による痛み、原因不明の痛み(不定愁訴)などと言われる場合もあるでしょう。
さらには、訴えの部分から、○○症候群、変形性関節症などと言われる場合もあるでしょう。
でも、大部分は、(レントゲンには写らない)筋肉などが、本当の痛みの原因です。