筋肉を整体する(前編)

「センセ、最近ね、筋肉って内臓の一種なのかなって思えてきたんですよ。」
「おっ、それは素晴しい!
実はまったくその通りで、筋肉は運動器官としての働きだけではないんですよね。」
「やっぱりそうなんですね。」
「そうそう。筋肉ってね、解剖学ではバラバラに分解されてそれぞれに名前を付けられてるけど、
全体を“骨格筋”と一括りにすると、体重の約4割くらいになるんだよね。」
「そんなにあるんですか!」
「そうなんだよね。
体重の2割が脂肪だとすると、残り8割のうちの半分が骨格筋で
残りの半分を内臓や骨、脳や神経、血管なんかが占めてるんだよね。」
「そうなんだ、身体の半分が筋肉ってことなんですね。」
「そうそう。
だから疲労して筋肉の調子が悪いと全身的に不調になるんだよね。
カラダの半分近くが調子悪くなるんだから無理ないよね。」
「筋肉が調子悪いと、どんな症状が出るんですか?」
「うん。まずは、疲労による疲労感。」
「疲労だから、疲労感ですか?」
「まあ、そうだね。
同じ姿勢を続けたり、同じ動作を繰り返すことで筋肉は疲労するんだよね。
例えば、神経系統のアンバランスで異常に筋緊張が高まったり、
循環不良でエネルギー源が届かずに筋肉が縮まったまま動けなくなったり
筋肉の細胞が働くことで排出された老廃物が出ていけなくて溜まったり、
そんなことが起こって、筋肉の正常な働きが出来なくなることを言うんだよね。
そういう異常な状態を知らせるために疲労を感じるようになっているんだ。
このままだと大変な事になるから休憩しなさいってね。」
「でも、なかなか思うように休めないですよね。」
「それが問題。
気合で乗り切るとか、鍛え方が足りないとかね。
以前、CMで“24時間戦えますか。”なんてのがあったけど
とんでもない話だよね。」
「休めないでいると、どうなるんですか?」
「うん。疲労が蓄積されて押すと痛みを感じるところが出来たりするよね。
更に疲労が重なると、酷いコリ感や痛みを感じるようになるね。
特別きっかけらしいものがなくて徐々に痛みが出るから、
“何もしてないのに痛みが出た”
なんていう人もいますね。」
「あっ、それわかる!」
「急激に無理を掛けたりしても痛くなったりするんだけど、
徐々になるから分からないんだよね。」
「そうなんですね。」
「で、疲労して傷付いて痛みを出している筋肉を正常化させる整体をやってるわけ。
正常に修復されていない筋肉が修復されて
縮んで固まった筋肉を正常な長さに戻してあげるんだよね。
そうすると、縮んだ筋肉に引っ張られて歪んだ骨格も元に戻れるんだ。」
「骨が曲がるんじゃないんですか?」
「うん。骨は曲がらないよ。
縮んだ筋肉が骨を引っ張って関節部分が曲がり、骨格が歪むんだよね。
筋肉・筋膜が短縮して骨格を歪ませるって言い方もするんだけどね。」
「あ、そうか。」
「そうそう。だから、筋肉というか、
筋肉・筋膜への整体で痛みも取れれば歪みも取れるってわけなんだよね。」